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掲載日:2019/03/14

愛知県の「麻しん患者の集団発生」について

 今年の年初からの話題として「麻しん患者の集団発生」があげられます。久しぶりの集団発生として、マスコミでも何度も取り上げられ注意喚起がなされており、記憶に新しく、皆さんもご存知のことと思われますが、今一度私見を交え振り返ってみたいと思います。

 経過について;2018年12月年末に三重県津市である集団の研修会が実施され、ここに参加していた子どもたちを中心に麻しん患者の報告がありました。患者は三重を中心に広がり、愛知県でも発生、さらには二次・三次感染と続き、愛知県では1月に14人、2月には11人の感染が確認報告され、現在は終息段階に入っています。

 報道について;報道では、①麻しんの集団発生があったこと、②麻しんは合併症も多く怖い病気であること、③特に感染力が強く、隣を患者がすり抜けただけでも感染すること、④防ぐにはワクチンが重要であることなど、一通りうまく説明があったように思います。

 しかし、皆さんはどのように感じられたましたか?

 報道内容の時間配分・強弱のつけ方で、印象がずいぶん左右されますが、『麻しんは怖い病気で、感染力が強い』イメージだけが、かなり強調されている感じがしてなりません。
 
 古い方は、はしかについて『はしかにかかったようなもの』というイメージがあったのを覚えておられるでしょうか。
 感染力が非常に強いというのは、昔も今も同じですが、『麻しん・はしかは怖い病気』であるか、ないかです。高熱(39~40℃)と全身の皮疹、1週間もすれば改善してきます。
 と考えればあまり怖くないとも感じられますが、問題は合併症です。
 この間なにもなければ”よかった、よかった”で済まされますし、あまり熱も皮疹もなく過ぎてしまう人も中にはありますが、この間免疫機能が極端に抑えられるため、発症したうちの3割の人が中耳炎・肺炎などの合併症を引き起こし、さらには1,000人に1人くらいの割合で7~10年してから顕在化する亜急性硬化性全脳炎を発症するとの報告があります。
 “はしかにかかったような恋愛”でも大きな痛手を被る人もいれば、淡い思い出となっている人もいると思います。
 
 ここで話を戻します。私見を言えば、報道では「④ワクチンが重要である」を強調して頂きたかったと思います。接種していれば集団感染はかなり防げた可能性は高いと思われます。

 前述の研修会を行った集団では子供たちのワクチンを推奨してこなかったとのことですが、親のエゴで子供たちを危険にさらしてよいのでしょうか。勿論ワクチン否定論者はワクチンを打ったことでの副作用被害などを訴え、拒否しているのですが、問題は確率です。どちらの選択がより多くの子供たちにとって良いのか、考えてみる必要があるのではないでしょうか。
 
 麻しんワクチンは、ウイルスの毒性を弱めて病原性をなくしたもの(生ワクチン)で、現在日本では麻しん・風しん混合ワクチンとして1歳代と小学校入学前に無料で接種できるようになっています。自費であれば、勿論大人も接種できます。
 ワクチンを打っていれば必ず発症しないかというとそうではありません。抗体がうまくできなければ感染しますが、大多数の人に抗体が上手く付くように、ワクチンの接種量・回数・時期などが考えられています。また大勢の人が、抗体を持つことによって集団での発症を予防し、抗体のない人も守ることができるのです。(集団免疫といいます)
 “子供が生まれたら、受験生がいたら、家族全員がインフルエンザワクチンをうつ“という話はよく耳にします。”かかってもらいたくない人がいたら、周りの人も注意をする”のが基本かと思います。

 最後に一言、ワクチンで防げる病気(VPDという)はいくつかあり、そのため様々なワクチンが作られており、それが推奨されるか否かWHOも基準を出しています。ワクチン接種に関して日本の基準は世界の常識から外れているところが多いというのも現実のようです。

[出典]

[執筆者]
 真清田クリニック 纐纈 雅明

[監修]公益社団法人 愛知県医師会

今年は久しぶりに麻しんが集団発生しました。

麻しんの集団発生を防ぐには、ワクチンの接種が重要です。

[このページの内容に関する留意点]

ご紹介している健康情報は2019年3月時点のものです。

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