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掲載日:2017/05/25

子宮頸がんについて知ろう!

子宮頸がんと子宮頸がん予防ワクチンについて

はじめに
 「2813」 この数字は、2015年に子宮頸がんにより亡くなられた日本人女性の人数です。また、1年間に子宮頸がんと診断された日本人女性の数は、1万人を超え、0期の子宮頸がんと治療を必要とする前がん病変を含めるとさらに多くの患者数になります。年齢別の患者数を見ると、30~40歳代の女性に多く見られるうえに、20~30歳代の患者数が増加傾向にあることが心配されています。

子宮頸がんとヒトパピローマウイルスについて
 子宮頸がんは子宮の入り口あたりに発生する女性特有のもので、初期には自覚症状がほとんどないため、発見が遅れると負担の大きい手術を受ける必要があり、妊娠・出産を控える女性にとってはとても怖い病気であると言えます。その病因にはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が強く関連しています。HPVは、誰もが感染する機会のあるウイルスで150以上の種類が報告されており、その中には手や足などにできる「イボ」の原因となるものもあります。子宮頸がんにおいては、性行為の際に高危険型と考えられているHPVに子宮の入口の細胞が感染し、その状態が続いた場合の一部にがん化が起きると考えられています。子宮頸がんの患者さんの90%以上において、手術した部分からHPVが検出されることがよく知られています。

子宮頸がん予防ワクチンについて
 2006年にアメリカにおいて子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)が販売開始となりました。現時点ではサーバリックス(GSK社)とガーダシル(MSD社)の2種類のワクチンが130か国以上の国々で採用されており、2013年9月までに1億7,400万接種回分以上が出荷されています。このワクチンにより前がん病変の検出が高率に抑制されることが明らかとなり、70%以上の確率で子宮頸がんの発症を抑制すると推計されています。日本では2009年より販売開始となり、2013年には定期接種ワクチンに指定され、約338万人が接種を受けています。その後は、2013年6月の第2回厚生労働省 ワクチン副反応検討部会において「広範な疼痛38例」が報告され、「HPVワクチンの積極推奨を一時差し控え」の通達が出され、現在もその状態が継続しています。特に問題となっているのは、日本において複合性局所疼痛症候群(CRPS)と呼ばれる外傷や神経が傷ついた後に痛みが続く病気の発症が、HPVワクチンと関連するかどうかについての不安が解消されない状況が蔓延していることです。2015年の調査では、HPVワクチン接種を受けた338万人のうち、CRPSを含む副反応の疑い報告があったものは2,584人(被接種者の0.076%)、さらにその後の追跡調査が可能であった1,739人のうち未回復者は186人(被接種者の0.005%)となっています。  

子宮頸がん予防ワクチンの積極推奨再開に向けて
 HPVワクチンの安全性に関する海外の報告は、米国疾病予防管理センター(CDC)や欧州医薬品庁(EMA)などから多数あり、世界保健機関(WHO)は、2015年に「子宮頸がん予防ワクチンの安全性に疑問を呈する理由はほぼ見当たらない」との声明を発表しています。さらにWHOは日本の現状について、「若い女性は、本来予防できたはずのHPV関連のがんに罹ってしまうリスクがあり、十分でない根拠による政策によって、安全で有効なワクチンが使用されないことは深刻な問題となりうる」との懸念を表明しています。日本産科婦人科学会、日本小児科学会を含む15の団体は、2016年4月に「HPVワクチン接種推進に向けた関連学術団体の見解」として、HPVワクチンの有効性が証明されていること、国内で子宮頸がんによる死亡率が増加していること、HPVワクチン接種後のCRPSなどの病気はワクチン接種歴のない集団でも一定数存在すること、HPVワクチン接種後に生じた症状に対する診療体制が整備されてきたことを挙げ、HPVワクチンの積極的な接種を推奨するとしています。日本においてこのままHPVワクチンが普及しなければ、多数の子宮頸がん患者が発生し、年間約2,000人の女性の命を救うことのできない状態が続くことを意味します。
 子宮頸がんワクチンは、積極推奨外であっても定期接種ワクチンには指定されていますので、対象年齢の期間に受ければ無料となります。また対象年齢以降の人でもワクチンを受けることで子宮頸がんの予防効果は得られます。

あとがき
 女性の皆様には、子宮頸がんに関する正確な情報を知っていただきたいと考えています。またその予防のためにはHPVワクチンが有効であり必要であることを理解していただき、さらには子宮頸がん早期発見のためには子宮頸がん検診を受けていただきますようにお願い致します。もし疑問点があれば厚生労働省の子宮頸がん予防ワクチンQ&Aなどを参照していただくか、専門医にご相談ください。
 現時点において、ワクチン接種後の痛みや体調不良のためにつらい日々を過ごされている方々が早期に回復されますことを願っておりますとともに、子宮頸がんを撲滅するために、厚生労働省によるワクチンの積極推奨が再開されることを希望しています。


関連資料
1.厚生労働省の子宮頸がん予防ワクチンQ&A http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/qa_shikyukeigan_vaccine.html
2.国立がん研究センター がん情報サービス
http://ganjoho.jp/public/pre_scr/prevention/cervix_uteri.html

[出典]

[執筆者]
飯田レディースクリニック 飯田 忠史

[監修]公益社団法人 愛知県医師会

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[このページの内容に関する留意点]

ご紹介している健康情報は2017年5月時点のものです。

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