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掲載日:2018/03/15

「食塩」は必要?

塩と血圧の関係について

●食塩は必要か?
 「食塩」は必要かとの問いに、当然という答えが多いと思われる。しかし実際には「食塩」という調味料を持たずに生活している民族が、エスキモーはじめアマゾン・アフリカ・ニューギニア奥地などにいくつか見受けられるという。もちろんこの人たちは他の手段でナトリウムという電解質を補給しており、また我々人体の中にもナトリウムをできるだけ維持するような装置(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系システム)も働いているため、我々は損失した必要分以上に塩分を補う必要はないようである。
 右の図表は、血圧と塩分摂取量の関係を示した有名なものである。塩分摂取量が多い(=尿中Na量が多い)と血圧も高いことを示しているというものである。(そうでないという説もあるが…)しかし、ここで着目して頂きたいのは「食塩」をもたず塩分摂取量の少ない左端の民族、特にアマゾン奥地のシング―&ヤノマモ族である。彼らの血圧は100以下で、高齢となっても高血圧にはならないそうであり、また血圧が100以下でもアマゾン奥地で元気に飛び回っているという現実である。よく「血圧が100以下でフラフラして生活できない」ということを耳にすることがあるが、急に下がったのでなければ、全く問題ないのであり、また「食塩」はなくても、元気に生きられることを物語っている。

●「食塩は最高の調味料であり、贅沢品である」とまで言い切る人がある。
 ただナトリウム(塩分)は必要な元素であり、欠如すれば致命傷となる必需品であることも間違いはない。ここで考えたいのは必要となる摂取量である。日本人の食事摂取基準(2015年版)では、ナトリウムの排泄量から換算された18歳以上の男女共通1日推定平均必要量は、600mg(食塩相当量1.5g)と見積もっている。
 平成28年国民健康栄養調査(厚生労働省)によれば、日本人の食塩摂取量の平均値は9.9g/日であり、男性10.8g/日・女性9.2g/日である。「健康日本21(第二次)」の目標では1日あたりの食塩摂取量の平均値 8 g/日としており、さらに日本高血圧学会では6g未満/日、WHO(世界保健機構)は世界の人の減塩目標を5g/日にしている。日本人はやはり塩分の摂り過ぎなのであろう。

●それでも日本は長寿国!
 確かに長寿国ではあるが、日本人の中だけで検討する。血圧レベルと心血管病発症との関係を19年間追跡検討した報告(福岡県久山町研究)によると、血圧レベルとともに心血管病の累積発症率は上昇し、同様の関連は脳卒中、とくに脳出血で認められ、さらに、連続剖検例において血圧レベルと動脈硬化には直線的な関係が存在することが証明された。
 これも簡単な話、心臓は1日に10万回弱拍動するが、毎日10万回臓器を叩き、さらに何十年も叩き続けると考えた時、できるだけ弱い力で叩いたほうが臓器に対する影響は少ないということである。

●まとめてみると
 「食塩」を摂らない民族では血圧が低い、日本人は塩分を摂り過ぎている、血圧は低い方が血管疾患は少ない、ということであろうか。「食塩」は必要か?再考したい。

[出典]

[執筆者]
真清田クリニック 纐纈 雅明

[監修]公益社団法人 愛知県医師会

[このページの内容に関する留意点]

ご紹介している健康情報は2018年3月時点のものです。

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