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掲載日:2018/04/06

皮膚のバリア機能と食物アレルギー

食べ物の摂取からだけではない食物アレルギー

 皮膚には、外界からの異物の侵入や刺激を防ぐための仕組みがあり、バリア機能と呼ばれています。また、食物アレルギーは特定の食べ物を摂取した後にアレルギー反応を介して、じんましん、呼吸困難、腹痛などの症状や血圧低下などの重篤なアナフィラキシー症状を起こします。
 
 食物アレルギーは乳幼児期に多いことから、その発症の要因は、消化器官が未熟なためと考えられてきました。
 しかし、最近、乳児期にピーナッツオイル入りのスキンケア製品を使用するとピーナッツアレルギーの発症が約8倍増加するという報告がありました。この結果、食べ物のアレルギーは、消化管のみが発症の要因ではなく、バリア機能が損傷した皮膚が食物にさらされることも一つの要因ではないかと考えられるようになりました。
 
 皮膚を経由した食物アレルギーの発症の仕組みはまだはっきりと解明されていません。ただ最初の段階で、皮膚の表層に存在する免疫細胞の一つ、抗原提示細胞が重要な働きをしていることがわかっています。
 抗原提示細胞は、外界から皮膚や消化管に侵入する物質を捉えて、他の免疫細胞であるリンパ球に情報を伝える役割をします。この情報伝達を経てアレルギーを持つか持たないか決められることになります。
 乳児期の適正な時期に、適切な量で口から食べた物は、消化管に存在する免疫細胞であるリンパ球により、体に必要なものと認識されアレルギーを持つことが抑制されます。これを免疫寛容といいます。この仕組みにより、食べ物を適切な栄養として体内に取り込むことができます。
 しかし最近の研究では、皮膚や腸管に炎症が起こっていると、免疫寛容が行われずに、食べ物が異物と認識され、体内から排除する方向へはたらき、その結果アレルギーの方向へ傾いていきます。このように、炎症を伴った皮膚のバリア機能の破綻がアレルギーへと向かうと考えられます。
 
 乳幼児に限らず家庭の主婦や調理師さんでも、バリア機能が弱った手で野菜や肉や魚介類等との接触を繰り返すと食物アレルギーを発症してしまう可能性があります。こうしたことを避けるために、乳児の口の周りの湿疹や成人の手の湿疹を放置せず、できるだけ早く治して皮膚のバリア機能を健常に保ちましょう。

[出典]

[執筆者]
山本皮フ科クリニック 山本 敬三

[監修]公益社団法人 愛知県医師会

バリア機能が弱った皮膚が、食物アレルギーの原因かも?

食べ物からの摂取だけではありません。

[このページの内容に関する留意点]

ご紹介している健康情報は2018年4月時点のものです。

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